ジャズのクラリネット奏者は相手を音で覚える

2002.6.16 村松淳彦

第3回
<ジョージルイスのライブを聴く>

田部雅美氏デザイン画

 それが、小生の卒業も近くなった頃、既に卒業していたクラブの先輩、大阪に住む河合良一さんたちの尽力の結果、ジョージルイスのグループが日本へ演奏にくることになりました。当然、小生は河合さんの付属品として付いていったのですが、楽屋ではジョージルイスのみが超人気で、小生みたいな付属品が会える筈はなく、もっぱらバンジョーのEmanuel Saylesと話していました。彼は、明るく人懐っこいおじさんで、彼のバンジョーの音、メロディックでウェスターン的アメリカン・フィーリングの通り、の人で、最も話しやすかったのです。また、実際にジョージルイスの演奏をきき、本物だと確信しました。音が違うのですね。言葉で言えないのですが、人を引き込むものがあるのです。
 小生が、もっとも、幸せだったのは、ジョージルイスが、帰国するとき、大阪空港の飛行機のそばで、ジョージルイスへ河合さんたちと一緒にお別れの演奏をして見送ったことです。河合さんは、ジョージルイスから贈られたE♭のクラリネット、小生は自分のクラリネットで吹きました。これは、大阪・木村陽一さんの父上の力によるものでした。